拍と拍子


今回は音楽での時間の流れを表す拍子について説明します。

音楽における時間の単位 – 拍

音楽は時間に沿った音の変化ですから、それを記述するためには時間をはかる単位が必要です。時間の単位というのは、たとえば私たちがふだん使っている「秒」のように一定間隔に時を刻む目印のことです。

秒は物理学の基本単位にもなっています。Wikipedia によると秒の定義は“セシウム133の原子の基底状態の2つの超微細準位間の遷移により放射される電磁波の周期の9192631770倍に等しい時間”だそうです。む、むずかしい!

音楽では様々なテンポの曲がありますし曲中でテンポが変わったりもしますから、いつも刻みが一定の「秒」で時間を決めるのは不便です。そこで、音楽ではというものが時間の単位になっています。拍は秒と同様に規則的に時間を刻む目安になるものですが、刻みの速さがその時々で変わります。

拍の集まり – 拍子

音楽では秒のように淡々と拍を刻むのではなく、いくつかの拍が集まって節を形成します。この拍の集まりを拍子といいます。

最も基本の拍子 – 単純拍子

拍子のなかで最も基本になるのが2拍子3拍子です。このふたつを単純拍子といいます。

説明する本やサイトによってはこの後に出てくる4拍子までを単純拍子とする場合もありますが、この記事では4拍子は2拍子がふたつくっついたものと見なします。

2拍子

2拍子は 1,2,1,2… と2つずつ数えられる拍子です。

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たとえばこの曲は2拍子です。

ヨハンシュトラウス2世 トリッチ・トラッチ・ポルカ

3拍子

3拍子は 1,2,3,1,2,3… と3つずつ数えられる拍子です。

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たとえばこの曲は3拍子です。

ヨハンシュトラウス「春の声」

そう、ヨハンシュトラウスは1世と2世がいます!

拍の強弱関係

拍子では、最初の拍がアクセントになります。上節の図で白丸になっている箇所ですね。たとえば上に例を挙げた曲でも 1,2,1,2… や 1,2,3,1,2,3… の 1 に重心が置かれている感じがわかるでしょうか。

同じもの同士の組み合わせ

単純拍子を組み合わせてさらに大きなグループにすることもできます。まずは同じもの同士の組み合わせから見てみましょう。組み合わせはたくさん考えられますが、実際は次に説明する4拍子と6拍子が圧倒的に多く使われます。

4拍子(2+2)

4拍子は2拍子+2拍子の足し算として捉えられます。4拍子は非常に多くの曲で使われていて、最も基本の拍子として解説されている本もあるくらいです。必修ですね!

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6拍子(3+3)

次によく使われるのが6拍子でしょう。3拍子+3拍子の足し算として捉えられます。

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拍の強弱関係

単純拍子を組み合わせた拍子の強弱関係は次のようになります。

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拍子全体の頭が強、2番目以降の単純拍子の頭が中、その他が弱になります。

楽典などちゃんとしたアカデミックな用語では中の強さを”中強”と言います。

3拍子の足し算 – 複合拍子

6拍子・9拍子・12拍子など、特に3拍子を足し合わせた拍子のことを複合拍子といいます。慣習的に3拍をひとつのように捉えます。

これら3の足し算になっている拍子について「複合拍子は3拍が1拍です」「6拍子は2拍子系です」などの説明をされる場合があります。何も説明せずそういう言い方をすると初学者は混乱するように思います。3つをひとつに捉えるというのはどういうことでしょうか。

ここで「3つをひとつに捉える」ことのご利益がよく分かる例を紹介しましょう。次の曲は6拍子なのですが…

ヘンリク・ヴィエニャフスキ「スケルツォ・タランテラ Op.16」

これを 123456123456123456… とマシンガンのように数えるのは厳しいものがあります。3つをひとかたまりにして 1..2.. 1..2.. 1..2.. と数えるのが現実的と言えるでしょう。3拍をひとつに捉えるというのはこういうことです。

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実際には上記の例ほど速い曲ばかりではなく 1,2,3,4,5,6… と数えられる曲も多いのですが、それでも作曲家が6拍子を選んだと言うことは音楽的に 1..2.. のように「大きな拍子」が意識されているということです。

3の倍数の拍子はたいてい複合拍子

鋭い人はお気づきかも知れませんが6拍子には2+2+2の可能性もあります。ところが実際には 2+2+2 の6拍子はあまり見かけません。基本的に 6拍子=3+3 と考えておいて大丈夫です。他の9拍子や12拍子なども同様です。

違う物同士の組み合わせ – 混合拍子

同じもの同士の組み合わせがアリなら違うもの同士の組み合わせもアリです。違うもの同士を組み合わせた拍子を混合拍子または変拍子といいます。

変拍子という用語には後述する「拍子が次々と変わる曲」という意味もあるので、この記事では混合拍子と呼ぶことにします。

あまり登場頻度は高くありませんが、独特のリズムを持っていて高い演奏効果があります。

2+3の5拍子、3+2の5拍子、3+2+2の7拍子、3+3+2+3の11拍子…などなどたくさんの組み合わせが考えられます。

たとえば次のジャズのテイク・ファイブはは3+2の5拍子で 1,2,3, 1,2, 1,2,3, 1,2…と感じられます。

テイク・ファイブ

コチラは2+3の5拍子。チャイコフスキー 交響曲第6番 2楽章

チャイコフスキー 交響曲第6番 2楽章

数学の足し算と違って 2+3 と 3+2 は違うリズムであることに注意して下さい。

変拍子

以上のように規則的な拍子の曲が多いのですが、中には不規則に拍子の切り替わる曲もあります。不規則に切り替わる拍子を変拍子といいます。変拍子という用語には先述の複合拍子の意味もありますが、こちらの意味で使われることが多いように感じます。

以上、拍と拍子のイメージがつかめたでしょうか。今回は楽譜を意識せずに「音楽」を感じてほしかったので、あえて楽譜を使わずに説明してみました。

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